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介護の“リアル”を読み解くための
キーワード20

基礎用語から、時代色の豊かな用語、生まれたてのトレンドワードまで。
介護の“いま”をより深く知り、また介護の“これから”を考えるための「キーワード20」を、
介護男子スタディーズプロジェクトがわかりやすく解説します。

1. 介護保険制度
40歳以上で加入し、介護が必要になったときに利用できる公的な保険制度。家庭の中で「シャドウワーク」とされてきた介護を、社会全体で担おうという理念で成立。2000年の制度発足時に介護にかかった費用は年間3.6兆円だったが、2014年には10兆円まで拡大している。介護保険サービスを受けている人の7割が女性。
2. 地域包括ケア
住まい、医療、介護、保健、生活支援など「地域を丸ごとケアしますよ」というシステム。高齢者だけでなく、障害者や子ども、生活に困っている人など地域に住むいろいろな人の声をきちんと聞いて必要な支援をしていく。最近では、個人の生活の質(QOL)を超えて、住んでいるコミュニティの質を高めていこうという考え方が重視されてきている。
3. 特養
老人福祉法の施設名称で、「特別養護老人ホーム」の略。「特別」とあるが別に特別ではない。まったく同じ施設を介護保険法では「指定介護老人福祉施設」という。介護の必要性の高い人が優先的に入居できる。そのほか自治体の長が「入居が必要だね」と判断した場合も入居可能。約7割が個室で、病院のような4人部屋は少なくなってきている。利用料は入居者の所得や資産の額によって異なる。
4. デイ
「デイサービス」と呼ばれるサービス類型の略。そのほかリハビリを行う「デイケア」、障害者が通う「生活介護」というサービスも「デイ」と呼ぶことがあるが、基本的には高齢者を対象にした通いのサービスである。介護職員が、家と施設の間を送り迎えしてくれる。施設ではお風呂に入ったり体操やカラオケなどをして過ごす。最初は利用を嫌がる高齢者も、少し通うと楽しみになるケースが多い。
5. ターミナルケア
高齢者やがん患者などが亡くなる間際のケアをいう。高齢者が増加する社会で注目されており、「終末期ケア」とも。一般的には医師が「治らない」と判断したときから。福祉施設で死を迎える人は年々増加している。最初はターミナルケアを怖がっていた介護職も、経験を重ねるたびに人間の尊厳や介護の本質を学ぶ機会となり、「やりがい」につながることも多い。
6. 訪問介護
介護職が、高齢者や障害者の自宅に行って介護を行う。「介護職員初任者研修修了者」の資格を持っていないと働くことができない。「ホームヘルプ」や単に「訪問」と呼ばれることもある。地域包括ケアでは、できる限り自宅で安心した生活ができることを重視しており、地域生活を支える重要なサービスである。
7. 介護福祉士
国が認めた介護のプロ。3年以上の実務経験を積み、国家試験に合格することが必要だが、試験の合格率は約6割。働きながら、通信教育など受験資格に必要な講習も受けられる。高校で取得できるところも増加中で、期待は年々高まっており、痰の吸引などの医療行為もできるようになってきている。国家資格。
8. 社会福祉士
福祉の相談に乗るプロ。働きながら、通信教育などでも取得できる。施設の相談員のほか、将来、施設長やマネジメント職に就こうとする人は持っているとよい。地域の介護相談を受ける「地域包括支援センター」には必ずいる専門職である。国家資格。
9. ケアマネ
「ケアマネージャー」の略。正式には「介護支援専門員」という。仕事は「ケアプラン」と呼ばれる介護計画をつくること。主に、何曜日にはデイサービス、この時間帯には訪問介護を利用などといった計画を立て、介護サービス事業者と連絡・調整、役所へ届け出る書類の提出代行などを行う。介護についての相談は「近くのケアマネに!」という意識が定着しつつある。介護現場などで5年以上働くと受験資格が得られる。
10. ヘルパー
「訪問介護員」のことをいう場合が多い。以前は、訪問介護員(ホームヘルパー)という資格があったが、2013年からは「介護職員初任者研修」に移行している。介護職員初任者研修は介護の入門的な資格で130時間の講義と修了試験があり、全国各地で養成講座が開催されている。
11. 障害者
法律では、身体障害、知的障害、精神障害の3類型がある。ただし、概念としての「障害者」は広く、個人の問題ではなく社会環境から障害が発生するという考え方が一般的である。社会のあり様によって、誰もが「障害者」になり得ることに留意しておくことが大切。
12. 統合失調症
最もメジャーな精神障害である。ほとんどの人は薬を飲んで自宅で生活しているが、誤解や偏見が多いのも事実。幻聴が主な症状として表れるが、障害者自ら親しみを込めて「幻聴さん」と呼ぶなど、肯定的に受けとめる傾向も。日本では、本来、「入院が必要でない」のに「入院している人が多い」のが問題で、精神障害者が地域で生活できる環境づくりが必要。そのため、介護職への期待は高まっている。
13. 認知症
さまざまな種類の認知症があるが、いずれも、失語や記憶障害という中核症状と、不安になって歩き回ったり、物を盗られたと妄想してしまったりする周辺症状がある。これらは環境によって症状が出るか否かが左右されるので、その人が安心できるような言葉遣いや居場所づくりが重要となる。認知症になっても心配のない地域社会づくりが求められている。
14. 社会福祉法人
社会福祉法に定められた法人で、特養の運営母体。地元の福祉について「ちゃんとやろうぜ」と率先して活動することが使命。法人税などがかからないので、既存の制度にはない福祉サービスを創造して提供していくことが必要。行政や政策に受け身にならず、自律した経営のあり方が求められている。
15. NPO法人
「特定非営利活動法人」のこと。設立が簡単で、明日からでも立ち上げられる。活動内容はさまざまだが、NPO法人が経営する介護事業者は確実に増えている。介護を生業として独立する際の選択肢のひとつ。経済的利益を一義的な目的とせず、各法人が自分たちの掲げる使命や目標を達成するために活動する。
16. 成年後見人
認知症や知的障害などにより判断能力が落ちたときに、その人に代わり「判断する人」。適任者は家庭裁判所が決める。土地の売買から牛乳配達まで、生活にはさまざまな契約があるが、すべてを成年後見人が判断することは難しく、生活に密着したこまごましたことは介護職が代わりに判断する場合も多い。介護職は、常に介護される人にとって最良の状態を考えることが大事。
17.虐待
虐待の件数は年々増えており、家族を含む介護者が虐待してしまうことも少なくない。肉体的・精神的暴力だけでなく、年金を勝手に使い込んだり、世話を放棄するのも虐待と定義されている。介護職は自分自身を客観的に見て、自らの行為が虐待になっていないかを確認し続けることが必要。
18. 障害者の性
性欲は、食欲や睡眠欲と同様に人間の基本的な欲求。当然、障害者や高齢者にも性欲がある。デンマークなどではマスターベーション介助が公的なサービスとしてあるが、日本の制度にはない。介護職には、性をタブーにせず議論していく姿勢が求められている。
19. 買い物難民
買い物に行けない状態にある人。車の運転ができる人が身近にいなくなったり、エレベーターのない団地などで足腰が弱ったときに難民となる。買い物は、生活必需品の調達であると同時に、楽しみでもある。買い物の支援も、介護の重要な仕事。
20. ケアファーム
農業と介護事業を複合して経営するモデル。レクリエーション的な農業ではなく、本気の農業というところがポイント。耕作されない農地が増えているなか、チャンスはたくさんある。オランダでは、こうしたケアファームが増加傾向。農業のほかにも、地場産業と組み合わせて介護を展開することで、地域を活性化しようとする取り組みも多くなっている。